稲葉禄子の聞き手力が半端ない。

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プロアマ問わず大盤解説の聞き手役女性は数多く存在するが、稲葉禄子(いなばよしこ)は群を抜いている。2018年1月13日に池袋のサンシャインシティでプロアマ本因坊対抗戦の大盤解説が行われた。解説は小林覚、聞き手は稲葉禄子。ちなみに稲葉は「囲碁と悪女」を去年出版した。

まず稲葉は背が高く足が綺麗で美人なので花がある。壇上にあがるとそれだけでパッとその場が明るくなる。そして笑顔もよい。うそ臭くないし愛想笑いでもない自然な笑顔で受け答えをしている。

さらに愛嬌もある。美人だけど愛想がないために周りから好かれない女性がいるが、稲葉は真逆。稲葉に話しかけてみたい、稲葉から話しかけられたい、と思う人、特に男性は相当多いのではないだろうか。

そしていじられ上手。小林覚にディスられるようなことを言われても嫌な顔をしない。むしろいじられて嬉しそうにも見える。それでいて負けじと解説の小林覚をいじり返す。タイミングがあれば何度もいじり返す。

ちなみに小林は院生の頃はあんなにかわいかった稲葉がこんなおばさんになってしまって、という感じで稲葉の年齢をいじっていた。

稲葉は小林の若すぎる奥さんのことを色々話してやろうとタイミングをうかがっていた。例えば「昔は逆立ちしながら腕立てもできたが今はできない」という小林の話にすかさず稲葉が「若い奥さんにいいところを見せたいが故の行動」とディスる。また、ある日の小林が囲碁の仕事が終わった後に次の「仕事」として向かった先が「競輪」だったという話も紹介していた。

相当気が強くて自分に自信がないと、先輩のプロ棋士をいじったりすることはできないだろうが、若い頃から仕事で一緒になることが多かったようで、小林覚との人間関係もすごく良好なのだろうと感じた。

小林と稲葉の大盤解説は非常に息が合っていた。脱線話は多すぎもなく少なすぎもなく、会場は終始和やかな雰囲気に包まれていた。

稲葉はしゃべりが上手な芸人のようなトークができるわけではないが、人を引き付ける話はできる。解説よりトークのほうが目立っては良くないだろうから、そのぐらいでいいのかもしれない。

稲葉は「いやまといなばを自分でよく間違って頭の中で都合よく変換してしまう」というような話をしていた。誰かとの会話で「いやま先生すごいですよね」と誰かが言うと、稲葉は勝手に「いなば先生すごいですよね」と置き換えてしまうらしい。確かに「いやま」と「いなば」は文字数とイントネーションと最初の文字が同じなので、言いたいことはわかる。

たいしたことのない何でもない話だが、噛まずに笑顔で話の着地点にちゃんと着地していた。

稲葉禄子(いなば よしこ)
元院生で棋力はアマチュア六段ぐらい。プロ棋士の白江治彦は義父。大盤解説の聞き手は女性が担当することが多いが、囲碁界で稲葉を超える聞き手役はいないだろう。容姿端麗で愛嬌があって笑顔が素晴らしい一方でちょっと天然なところもあるのでどこか憎めない

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