焦りすぎの伊田篤史

囲碁と芸能人・メディア

2017年3月のNHK杯。準決勝第2局。井山と対戦した伊田篤史。伊田は井山に2勝9敗。井山に勝ち越している棋士は恐らくいないだろうから、それはそれで仕方ないが、伊田は中盤から明らかに冷静さを欠いていた。

恐らくいつもの癖なのだろうが、碁石を碁盤に投げる。碁笥から碁石をにぎってその石を碁盤に最後まで指を使ってパチっときっちり置くというよりも、置きたいところに盤面から少し離れた盤上から落とす、という打ち方が多かった。

また、上辺の石が攻められて、左上で劫を仕掛けられて損をして、踏んだり蹴ったりの内容だったが、伊田の焦りはテレビを通してずっと伝わっていた。伊田が頭を抱えたり上下左右に動きまわるのでカメラマンも追いかけるのに一苦労だったに違いない。

一方で、最初から最後まで冷静沈着だった井山。慌てることなく盤面の移り変わりを常に的確に把握して打ちまわす。王者の風格そのもの。

囲碁は武道同様、勝ち負けよりも礼や品格を重んじるものである。対局者には常に木鶏(もっけい)を追い求めてほしいものだ。

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