唐代伝奇集(東洋文庫)によると、囲碁は日本に七世紀より前に中国から伝わったという。九世紀ごろには碁の強い日本の王子が中国を訪れて囲碁対局をしたという記録が杜陽雑編や日本三代実録などの日本の古文書に残っている。
その人物の名は伴小勝雄(ともの おかつお)で、紀元800年ごろの平安時代に小勝雄が19歳のときに碁師として遣唐使の一員に加わり、唐の碁の第一人者、顧師言(こしげん)と対局した。小勝雄は鎮神頭の妙手をはなった顧師言に勝利することはできなかったが、帰国後は碁師として名を高めて長く第一人者の地位を保った。
平安時代 顧師言 対 伴小勝雄
黒(顧師言)が、鎮神頭で白(伴小勝雄)を退ける。
平安時代
黒:顧師言(こしげん)
白:伴小勝雄(ともの おかつお)
四隅の星に二子ずつ置いて対局が始まる。
序盤から戦いが始まる。白も黒も手数を伸ばし...
最近の書物でいえば、いにしえの囲碁の強者の逸話は田村竜騎兵著の「物語り 囲碁英傑伝 (MYCOM囲碁文庫シリーズ)」にまとめられている。群馬県出身の田村は新聞社の観戦記者、囲碁ライターとして活躍した。1931年誕生、1990年死去。