なぜ囲碁界を1つに束ねる機関がないのか。

囲碁雑学

日本のプロ囲碁界は頂点が一つに統一されていない。例えば日本のプロ野球界の頂点は日本野球機構。全球団の全選手がその傘下にある。また、日本サッカーの頂点は日本サッカー協会。全クラブの全プレーヤーが傘下にある。

しかし、囲碁界には「日本棋院」という東京を本拠地とする団体と、「関西棋院」という関西を本拠地とする2つの団体が存在する。所属のプロ棋士の数などでみる規模は日本棋院のほうが関西棋院よりも圧倒的に大きい。それらを束ねる組織は存在しない。東京と関西で勢力を争っているようにもみえる。

お笑い界で例えれば大企業の「よしもと」と中堅の芸能事務所の「グレープカンパニー」と所属先が2つしかないようなもの。どう考えてもバランスは悪い。

関西棋士の反乱

歴史的経緯としては、日本棋院が以前からあり、戦後にプロの棋士たちが内輪もめをした際に誕生した団体が関西棋院。関西の棋士たちにとって、昇段の試験でわざわざ東京に行かなければならないことの改善が理由の一つだったらしい。

現在、大物の棋士の多くは日本棋院に属し、さらに日本棋院は大阪に「関西総本部」、名古屋に「中部総本部」という支部をもっている。実際のところ、囲碁と言えば「日本棋院」と思う人は少なくない。関西棋院は日本棋院の傘下にあると勘違いしている人も多いだろう。となると、関西棋院の存在意義は果たして何なのかと疑問を抱いてしまう。

日本囲碁界のありかたとは

囲碁界が芸能界と同じならこのままの形でいいのかもしれない。芸能界で活動するにはまずどこかの事務所に所属しなければならない。芸能界のなかでもお笑い界を一例として考えると、最も大きな事務所である「よしもと」は、囲碁界の日本棋院のようなもの。関西が総本山だが東京や福岡にも「よしもとの支部」がある。よしもとには多くの芸人が所属し、大物芸人も多い。

一方、よしもと以外には関根勤が所属する浅井企画、ザキヤマが所属する人力舎、有吉が所属する太田プロなど、中小規模の芸能事務所が多く存在する。

事務所に所属した後、芸人はテレビや舞台や営業などさまざまな活動を通して、日本の芸能界に貢献していくことになる。

お笑い界には全ての芸人を統一的に管理する団体はない。なぜか。その必要がないから。お笑いにはスポーツや囲碁にあるような勝敗を決めるためのルールは必要ない。一緒くたでない、いろいろな笑いを視聴者や観客に提供するのが一番大事なこと。

よしもとの笑い、それはそれで楽しいが、日本全国いつも全てがよしもとの笑いじゃなくていい。神奈川出身の出川のトーク、栃木出身のU字工事の漫才、いろいろな人の感性と笑いが混ざって覚醒して面白いものが作り出されていく。

日本棋院と関西棋院は別々に存在するべきなのか

囲碁には「いろいろな囲碁」が必要なのか。関西っぽい棋風、関東っぽい棋風、それが囲碁界発展につながるのか。そうではない気がする。関西だろうと関東だろうと同じルールの下で勝敗を決めていくのが囲碁。囲碁界はお笑い界よりはスポーツ界に近い。

それなら、やはり一般人の混乱をさけるためにも、例えば日本のサッカー界のような形にすべきではないだろうか。一つの団体が頂上で囲碁界を一手に引き受ける。

Jリーグのように、プロの囲碁棋士が所属して活躍できる「棋院(Jリーグ所属クラブ)」が全国各地にもっとたくさんできて、地元密着型となり、それらが互いに刺激しあって切磋琢磨しあえれば、囲碁界はもっと大きくなれるに違いない。

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