アル中から棋聖戦六連覇へ
天井からお化けが降りてくる、腕の皮膚を虫が這っている気がする、などの禁断症状も見られた。しかし対局する時にアル中では駄目なので何とかアル中から脱しなければならない。第一回棋聖戦を前に酒を断てるかの勝負だった。
この土壇場で秀行の意志は硬かった。碁をやりたいから酒を飲まないでも大丈夫なように頑張った。努力した。モトは徐々に重湯を飲ませておかゆを食べられるようにした。そうやって対局の日に備えた秀行はモトの献身的なサポートのおかげで三ヶ月かけて断酒に成功。
秀行は第一回棋聖戦に臨むことができただけでなく、初代王者に輝くこともできた。その後の棋聖戦は６連覇。それらの賞金は浪費せず借金の返済にあてたという。借金は若干残っていただろうが大半は返すことができたらしい。
