隅のマガリ四目(すみのまがりしもく、すみのまがりよんもく)

囲碁用語

マガリ四目

「まがりよんもく」とも読めるが、2012年囲碁フォーカスで吉田美香は「まがりしもく」と言っていた。 囲碁を習い進めていくと「隅のマガリ四目は死」というルールに必ず遭遇する。

しかしこのルール、一筋縄ではいかない。日本のプロ囲碁界では正式に「隅のマガリ四目は死」と決められているけれども中国ではそうとは限らないそうで、なんともややこしい。

日本囲碁規約第七条

どうして日本のプロ囲碁界では隅のマガリ四目は死なのかということを理解しようとすると、「日本囲碁規約第七条(死活)の2項」という難解なルールを理解しなければならない。

第九条の「対局の停止」後での、死活確認の際における同一の劫での取り返しは、行うことができない。ただし劫を取られた方が取り返す劫のそれぞれにつき着手放棄を行った後は、新たにその劫を取ることができる。(引用先

これはつまり以下のようなことを言っている。

両者がパスして対局が終了になりました。そして皆さん死活の確認に入りますよね。 そのときに劫があって、あなたが劫を取りたいなあと思って劫立てをしたとします。そして相手がその劫立てを受けたとしても、あなたがとりたいなあと思っていた劫は取り戻すことはできません。

けれども対局終了後の死活確認中でも劫が取れる方法が一つだけあります。あなたがその劫に対してパスした後、次に自分の番がまわってきたときにまだその劫があるならば、取っちゃっても構いません。

日本特有のルール

初心者には難しすぎるこの煩雑なルールは日本だけのものらしい。囲碁は全世界で打たれているのだからルールを一元化することも今後考慮されるべきではないだろうか。それが囲碁のさらなる国際的な普及に繋がる。

「隅のマガリ四目は死」という場合、以下に示す2つの図を覚えていれば問題ないだろう。大事なのは「外ダメが全て詰まっている」こと。また「隅のマガリ四目は死」という場合、以下の図においては黒が死んでいますよ、ということ。

隅のマガリ四目 その1

黒からAまたはBに打つと、結果的に「三目ナカデ」で死ぬので、黒は手が出せない状態。よって、白が攻めることになるが、その場合は白1が大切。 その後、黒はAにもBにも置けない状態になっているので(置いたらその後すぐに白に全部とられてしまう)、黒はパス。そして白2で「白石4つ」の形。これが「隅のマガリ四目」。

この形が出てくるから黒は死、ということ。どうしてか。続けて黒3で白4子取る。黒は白石が取れて一件落着と思いきや、白は白4と打つ。黒は二眼を作ろうと黒5。それを阻んで白6。

この形になったとき、「日本囲碁規約第七条(死活)の2項」が効力を発揮する。そのルールによると、「対局終了後に」黒が劫立てして白が劫立てに受けたとしても、左図のA1の場所に打って劫を取り返すことは許されない。 では、パスしたらいいって書いてあるからパスしよ、ということになるが、黒がパスしたら白は当然白7として、黒石全部を取ってしまう。だから、「隅のマガリ四目は死」だという。

隅のマガリ四目 その2

黒がAに打てば白はBに打ち、黒がBに打てば白はAに打ち、どちらにしても黒は全部取られてしまうので、黒は手が出せない状態。 よって、白が攻めることになるが、その場合は白1が大切。その後、黒は黒2で白4子取って必死の抵抗を見せる。白が白3としても黒4で眼を作ろうと頑張る。しかし、白5で万事休す。

図のその1と同じようにして、「日本囲碁規約第七条(死活)の2項」の適用により、黒はA1に打つことができない。(日本棋院の説明はこちら。)

対局後の劫に関する特別ルールが「隅のマガリ四目は死」という理論の拠り所。ならば、例えば「対局中に」左図にあるように白が打っていったとする。そしたら、黒は劫材で勝っていれば、白に勝てるのではないだろうか。

だからこそ、白は図の形ができたら、対局中はそれに触れず終局を待つ。

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