1853年(嘉永6年)2月2日
手合い割:互先
黒:本因坊秀策七段
白:太田雄蔵七段
白1でR15のツケと、太田が隅の黒を固めにくる。秀策は太田の手に一つ一つ丁寧に受ける。
黒12でM12と二段バネして、中央に向かう相手を制限することもできる。
しかし、その場合はM13に傷が残り、秀策はそれを好まない。
黒12では着実にM13にノビ。傷を抱えない秀策のうち回しが後の攻撃に大きな効果を発揮する。
力をためた秀策の逆襲
1つ目の図から少し進んだ局面。太田は攻め続けたが、その代償に△(O12)の傷を抱えた。黒番。
O12の傷を咎めるために、Q9のツケなどが考えられるが、秀策は黒1で堅実にN6に一間トビ。
黒11(O9)まで着実に下辺の黒の勢力を中央に広げて、黒13で満を持してO12のキリ。
秀策は先手で黒15(F3)の二間トビ。△の傷を呼び水に秀策は下辺に大きな黒模様を築いた。
太田は右辺に大きな地を囲ったが、秀策には上辺右寄りと下辺がある。
また、上辺と中央の白はまだ攻める余地が大いにある一方で、黒に弱い石は見当たらない。
相手の言うことを何でも聞いて、相手ペースで打たれてしまい、地合で遅れてしまうのではないかと焦るが、秀策は焦らない。
最終的には間に合っている。むしろ途中から局面をリードしている。
早い段階からの形勢判断力が実に素晴しい。